未来への種まき~伝え続ける語り部プロジェクト~


竹内理彩さん「同じ時間を過ごすということ」



 

 私はいわてGINGA-NET夏2012第二期として、8月14日~21日の一週間、岩手県釜石市に行ってきました。仮設住宅の一室をお借りして、お茶っこサロンとして住民の方々にお茶を出したり、仮設住宅の子どもたちと遊んだりしました。丸一日は少年野球チームの練習にも参加させていただきました。

 お茶っこサロンは仮設住宅に住む方々の関わり合いの場になっているのですが、そこでは、さまざまなお話を聞かせていただきました。あるおばあさんは、震災翌日から毎日書かれている日記を見せてくださいました。震災後はノートもなかったため、ポケットティッシュに入っている紙にメモをされていたそうですが、旦那さんを津波でなくしたことも、すべてが夢であってほしいという言葉も、私自身に話してくださった現在の前向きな言葉も、目の前にいる方の言葉は、今までのどんなテレビや本の中の3.11よりも本物で、何も言えない自分がとても悲しかったです。

 また、わたしの行った仮設住宅には、震災後に生まれた赤ちゃんから高校生まで沢山の子どもたちがいました。子どもたちとは元気に遊んだのですが、時折見せる津波に異常な拒否反応を示す姿や、亡くなった方々のために手を合わせる姿にドキッとさせられました。親御さんの話から、子どものなかには、津波を連想させるために水洗トイレの流す音が怖くてずっと一人ではトイレに行けなかったり、津波のあとに家に帰る途中で流された人を大勢見て夜うなされたり、そういうつらい体験をした子どもがたくさんいることを知りました。

 私自身、昨年は東北へ行くことができず、やっと行くことができましたが、昨年すぐに行動できなかったということがずっと心に引っかかっていました。また中途半端なことしか、いやむしろ何もできないのであれば行かないほうがいいのかもしれない、とも思っていました。
 しかし、行かなければわからないもの、感じられないものは本当にたくさんありました。長期的な支援が必要であると強く感じましたし、必要なものもあったらいいなあと思うものも変わっていくことや、同じ時間をすごすということもとても大切なことだと知りました。また、3.11について真剣に話せる仲間もできました。同じ班で活動した5人では帰ってきてからも連絡を取り合っており、岩手のことがテレビでやっていたら連絡を取り合いますし、みんなで真剣に意見交換もしています。

 まだまだ課題はたくさんあると思います。私自身、悔しいことも情けないこともあります。また、私一人にできることは限られています。今回行ったことが何かの力となっているのかは正直わかりません。自己満足な部分もあるかもしれません。しかし、多くの人が集まって長期的に岩手の方々とつながりをもつということが、何らかのプラスのパワーになっていくのだと今は信じています。

 今は、まわりの友達や、ボランティアで行っているガイドの中で外国の方に、岩手でのことを伝えています。これからも、何らかの形で東北に関わっていきたいと考えています。そして、岩手では人のあたたかさや、人とのつながりの大切さを強く感じたので、今は自分の周りの人からつながりを大切にしていこうと思っています。

 岩手にお話したい人がたくさんいます。また、岩手へ行きたいです。

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